トン、トン、トン

夜、湯船に入って

耳までつかると
誰かの足音が聞こえる

いや
これは私の心臓の音だ

この鼓動を止めることは
じつは たやすい

でも
止めた鼓動を再び動かすことは
私にはできない

そうか
私が自由に心臓を動かしているわけではいんだな、と
今さら気が付く

私ではない何かが
私の心臓を 動かしている

私ではない何かが
わたしを 生かしている

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